HTTP/2がつなぐSEOとフロントエンド開発の未来

この投稿はhttp2 Advent Calendar 2015の24日目の記事として インフラ系の人がHTTP/2推進を頑張ってくれると、私のようなフロントエンドやSEOに関わる人間が幸せになるので、ぜひ、とにかく、なんとしてでも頑張っていただきたい!という応援のメッセージを送りたいという思いが形になったものです。

11月末。Googleの中の人でも飛び抜けて有名なジョン・ミュラー氏がGoogleクローラーがHTTP/2に対応すると発表しました。 さらに、その中でランキング要因としても影響すると明言。SEO業界に衝撃が走りました。

Why Everyone Should Be Moving To HTTP/2

さらに、CDN大手のCloudflareがデフォルトでHTTP/2に対応するなど、時代の波は確実にHTTP/2に来ています。

Cloudflareが全ユーザにデフォルトでHTTP/2を適用、大企業ユーザのみオプトイン | TechCrunch Japan

SEOにおけるHTTP/2とは?

HTTP/2はSEOに優位だ…という件ですが、とはいえ単純に対応すればいいという単純なものではありません。

今年の4月からモバイルフレンドリー対応といってスマートフォンで検索した際に、スマートフォン対応が正しくされているサイトはなるべく上位に表示する、というアナウンスがありました。さらにその中でユーザーエクスペリエンスが高いサイトを評価すると言っています

  • 携帯端末では一般的でないソフトウェア(Flash など)を使用していないこと
  • ズームしなくても判読できるテキストを使用していること
  • ユーザーが横にスクロールしたりズームしたりする必要がないよう、コンテンツのサイズが画面のサイズと一致していること
  • 目的のリンクを簡単にタップできるよう、それぞれのリンクが十分に離れた状態で配置されていること
  • インターステシャル広告を使用していない

ちなみにUXという概念が適用されているのはあくまでモバイルのみなのですが、Google社がUXという観点でサイトを評価していこうという方向性なのは間違いありません。 さらに、オフィシャルには言われていませんが、サイトの表示速度についても、ランキング要因として評価しているのではないか?と言われています。

つまるところ、HTTP/2に対応すればSEOで有利になるのではなく、HTTP/2を利用することで早くなった=ユーザーに利益があるページを評価する。 そのための、HTTP/2対応クローラという話なのでHTTP/2に対応するだけではなく、HTTP/2で早いサイトを作ることが大切になるのです。

フロントエンド・エンジニアがささえるSEO

HTTP/2でなくとも、パフォーマンスの高いサイトは最終的に評価されます。

画像スプライト、ドメインシャーディング、ビルドツールを使ったミニマイズや結合などなど、パフォーマンス向上のテクニックはあり、ランキングに直接影響はないと明言されていたとしても、実際に相関はあると言われています(質の良いサイトにはリンクが貼られやすい、バズりやすいというのが主な理由です)。

意識はあまりされていませんが、これからのSEOは日々ユーザーに素早くサイトを届けようと奮闘しているフロントエンジニアが重要な役割を担うことになっていきます。

で、先ほどのHTTP/2の話に戻るわけですが、「SEOに有利になるから、HTTP/2で超早いサイトにしてくれ。」これってフロントエンドエンジニアには嬉しいことなのではないでしょうか? だって、みんなHTTP/2を使いたいですよね? HTTP/2時代のサイトパフォーマンスの最適化はJavaScriptの実装を最適化したり、CSS設計を効率化したりといった本質的な部分にコミットできるから。

もう、慣れないPhotoshopを開いて、画像をちまちま結合していく作業は不要になるわけです。

HTTP/2は架け橋

とはいえ、じゃあ既存のサービスをHTTP/2にするか?というと、それはハードルが高いのも事実ですよね。そこでSEOの登場です。 フロントエンドとしては「SEOに有利だからHTTP/2にしましょう!」と高らかに宣言できる時代が来たということだと思うのです。

SEOはHTTP/2の影響でフロントエンドエンジニアの大切さを意識するようになり
フロントエンドエンジニアはSEOの要請でHTTP/2の導入の後押しができる

Web標準の進化で、仲が悪い……とよく言われるSEOとフロントエンドエンジニアが手を取り合って協力する事ができる日が来たのは、両方にコミットしてきた私のような隙間エンジニアはすげー嬉しいというのが本音です。

ハックや小手先のテクニックではなく、本質的な所にザクザク切り込んでいけるようになるわけで、2016年のウェブも本当に楽しみですね! ぜひ、インフラ担当の皆様におきましては、SEO担当やフロントエンドエンジニアを味方に付けて、HTTP/2導入の推進をしていただければと思います。